捺印と押印の違いはある?2つの言葉がある理由!ビジネス・契約では
ビジネスでも家庭生活でも印鑑を押したり署名をしたりします。
でも意外と捺印と押印の使い分け、署名と記名の意味と違いなど自信を持って答えられますか?
私は以前、不動産契約や借金の書き換え時などの時、いつも不動産や銀行の言われるままに契約書類に記載しハンコを押していました。
書類に関して常に苦手意識を持っており、完全に弱者の立場でした。
ビジネスの観点からも、良い契約をするためにもしっかり基本を覚えておきましょう!
最初に言っておくと、「捺印」「押印」どちらも判子を押すという意味で変わりありません。
ただこの2つの言葉が存在する歴史的な理由がありますので、そちらを説明するとともに、使い分けが必要になるケースもあるので、そちらにも言及します。
目次
「捺印」「押印」2つの言葉が存在する理由は当用漢字!
捺印、押印2つの漢字が存在する理由は、当用漢字にあります。
戦後、GHQの支配により出来た当用漢字しか使えなくなってしまったのですが、その中に「捺」は含まれていなかったので、その期間に「捺印」に変わる言葉として「押印」が出来ました。
戦前は、元々判子を押す言葉として『捺印』が使われていました。日本語戦争に負け、GHQが漢字の廃止を目論みました。
漢字を完全に廃止するまでの段階として、当面使うことが許される漢字として、1946年、1850個の当用漢字が出来ました。
その中には、「捺印」の捺という漢字が含まれていませんでした。
そのため、「捺印」に変わる言葉として、当用漢字に含まれている「押」を使った『押印』が出来ました。
1981年に1945個の漢字からなる常用漢字に戻りました。ちなみに「捺」という漢字は含まれてはいません。
捺印、押印の使い分けるケース
捺印も押印も同じ意味を表す言葉ですが、戦後の事情で2つの言葉があることは理解出来ましたよね!
判子を押すという時の丁寧語としてどちらを使っても良さそうです。
ただ、この2つの言葉を使い分けるケースが存在します。署名、記名したものに判子を押す場合、使い分けが出てきます
署名と記名
まず署名と記名とはなんでしょうか?
『署名』とは、契約書などの書類に自筆でサインすることをいいます。ボールペンなどで自分の名前を自分で書きます。
対して、『記名』とは自分の名前を自筆以外の方法で記すことです。例えば、自分の名前もワープロで打った書類の印刷とかあと代筆も記名になります。
- 署名⇒自筆のサイン⇒筆跡鑑定で本人特定可能
- 記名⇒自筆以外(代筆、ワープロ、ゴム印等)⇒本人特定不可
「捺印」と「押印」の使い分けの違い
署名と記名はもうお分かりですね!そしてその署名、記名したものに判子を押すことをそれぞれ『署名捺印』『記名押印』と言います。
この言葉に関しては、「署名+捺印」と「記名+押印」のペアで用いられます。
「署名押印」「記名捺印」という言葉は使われません!
- 署名捺印⇒署名+判子
- 記名押印⇒記名+判子
- 署名押印、記名捺印⇒無し
それぞれの効力についてランキング
捺印、押印、署名、記名など、本人の証明が目的ですが、その効力についてランクはあるのか?というとあります。
署名は、筆跡鑑定で本認かどうか?見分けが出来ますので、代筆やワープロなどの記名よりも証拠能力が高いのは想像出来ますよね!
それでは実際、契約書類などに関する法律上の証拠能力のランクを見てみましょう。
次の様な感じです。
証拠能力が高い順 | 契約上の効力の有無 | 備考 |
---|---|---|
署名捺印 | 証拠能力がもっとも高い | 一番安心、オススメ |
署名 | 契約での効力有り | |
記名押印 | 契約での効力有り | 「記名+押印」=「捺印」と見なされる |
記名 | 契約での効力無し |
法律分野では?
実際「捺印」「押印」どちらでも通じますが、法律上では押印という言葉を使います。
雑学として一応覚えておくのもいいですね。
ビジネスシーンでは丁寧で言い回しを
捺印と押印の使い分けを見てきました。ここで私達が、ビジネスシーンで署名と印鑑をお願いする時、何というのが好ましいでしょうか?
⇒これでも十分です。親しみも沸きそうですし。
②「ここに署名と押印をお願いします。」
⇒通じますが、上記の署名捺印のペアの関係を考えると、間違いなのかもしれません^^;
③「ここに署名と捺印をお願い出来ますか?」
⇒真面目そうで、マナーもしっかりしていそうですね。ビジネスシーンではこちらの言い回しが丁寧で感じも良いと思います^^
②以外はどちらもとても良いと思いますが、一度考えてみて自分の納得にいく言い方を用意しておくのもいいかもしれませんね!
捺印、押印の読み方は?
ところで今更という感じですが、押印と捺印の読み方は知っていますか?「捺印」「押印」という言葉を打ち込んで検索してこのページに辿り着いているということは、皆さんの大半は分かっていると思います。
一応書いておきますと、
- 捺印⇒なついん
- 押印⇒おういん
です。
他、関連して用いる言葉の読み方も書いておきますね!
- 拇印⇒ぼいん
- 調印⇒ちょういん
- 署名⇒しょめい
- 記名⇒きめい
まとめ
一度読めば、特に大したことでは無いのですが、社会人として、しっかり違いや意味を理解しておいて悪くはないですね。
契約書類にサインする時、してもらう時は、『署名捺印』にしておけば問題ありませんので、自筆で署名して判子を押すことさえ覚えておけばいいです。
ちょっと意識してこの様な知識を少しだけ増やすだけでも書類アレルギーが緩和されます^^;わたしはそうでした。
同様に普段特に意識しないけれど、知っているとちょっとした自信になるような記事を他にも書いています。よろしかったら下の記事も読んで下さいね!
100均には大型店になるといろんな種類の印鑑が売っていますよ!
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